二本松神社について

久安年間(1145年頃)、源頼朝の流人時代からの側近・安達藤九郎盛長が安達領の地頭になり、最初に熊野権現を祀りました。その後、畠山重忠の末裔である二本松畠山家・畠山満泰が守護神の八幡大神と合わせ祀りました。 寛永20年(1643)、織田信長の重臣である丹羽長秀の孫・丹羽光重が二本松藩に入府。 「よい政治を行うためには、領民にまず敬神の意を高揚させること」と、寛文4年(1664)、領民なら誰でも自由に参拝できるように城内から現在の地に遷し御両社としました。領民の守護・熊野権現と藩主守護・八幡大神を祀っています。

神社前に太鼓台が並ぶ

太鼓台が並ぶ二本松神社

神社より御神火をいただく

本殿前で御神火を松明にいただく若連

祭りのはじまり

『相生集』(藩より1841年刊行)によると“寛文4年(1664)6月、根崎・竹田の若衆が愛宕神社の神輿を担ぎ神楽太鼓を奏し、亀谷・本町・松岡(枩岡)を通り、若宮まで練り歩いた。その姿に触発された本町・亀谷の若衆が八幡宮の放生会にならい、同年旧8月15日に神輿を渡御した”ことが祭りのはじまりといわれています。 お祭りは庶民のものという風潮でしたが、現代になり武家の町であった郭内が昭和37年(1962)に太鼓台で参加し七町の祭りになりました。

太鼓台について

文政2年(1819)、唐破風型(裳階つき)太鼓台が登場。その前は踊り屋台が主流。 旧8月15日は中秋の名月、満月前後の月夜であっても足元を照らすために提灯が使われたと考えられています。現在の太鼓台は、明治20年代~大正時代に新造され、通称ヤマナシ(オオウラジロノキ)に漆を塗っています。 漆黒に映される提灯、提灯にほのかに照らされる彫刻、幽玄の世界です。

提灯の数は太鼓台ごと約300個。町の頭文字や町名が入っています。提灯を付けた状態で太鼓台の重さは2トンになると計算されています。太鼓台の提灯、高張提灯、若連幹部などの持つ弓張提灯も御神火で灯されます。“提灯の炎は絶やさない”という決まりごとがあります。

特徴は舵カジ・ブレーキがなく、重さのある太鼓台を若連が息を合わせて引き廻します。スギナリ(上部△の部分)を立てると高さは約11m、前から見た幅は約1.5m、横から見た奥行は約2.3mで字(アザ・町のこと)により異なります。 スギナリは可動式で外せるようになっていて、雨や字廻りでは外す字があります。現代は電線に引っかからないよう操作したり、間にスギナリを立てる技が壮快です。

亀谷_ぼんこ

亀谷、ぼんこ(スギナリの先の提灯)蠟燭かえ

竹田_幹部

竹田、太鼓台の前で弓張提灯を持つ若連幹部

亀谷_隅提灯

亀谷、隅提灯が唯一白い

昼間の太鼓台について

陽の下では提灯枠自体を外すので、彫刻や金箔の輝き、幕など荘厳で個性ある伝統技術のたまものを堪能できます。 文様は字ごと各面でも異なり、字の象徴である神獣などです。幕は昼夜でかえたり、場所によって見られる限定幕のある字があります。

提灯の代わりに町(字紋)の旗をつけます。ワッパ(車輪)も形・色が違い、 大八車を唯一採用している竹田はくるくると回転しやすくする為ですが、源氏車でも回転するパフォーマンスは字により見どころのひとつです。 回転だけでなく多様な引き廻しを特に七町合同の初日夜・2日目昼の亀谷坂下で楽しめます。

枩岡_屋根係

枩岡、うしろより破風(龍などの彫刻)、字紋の旗

竹田_幕

竹田、幕が風に煽られ虎が睨む。大八車の車輪

祭礼囃子について

囃子は、昭和62年(1987)『福島県重要無形民俗文化財』に指定。平成23年(2011)、祭り自体も『福島県重要無形民俗文化財』に指定。
楽譜はなく、口伝で何代も伝えられてきました。現代は録音ができるため覚えやすいですが、字ごとに囃子練習を定期的に行っています。

構成は小太鼓3名、鉦カネ1名、鼓1名(一部の字)、大太鼓1名、篠笛(複数名)。大太鼓・笛は若連、小太鼓・鉦(+字により鼓)は太鼓台の最前列に座る小若(小・中学生)が担当します。 大太鼓は約60cmの長バチ、約30cmの太い盆バチを曲目により、使い分ける字があります。

各字共通である、威勢の良い囃子『砂切(シャギリ・亀谷はシャンギリという)』、下り坂で奏される特に笛の音が美しい『豊囃子(トヨバヤシ)』など、場所や場面で奏される囃子は字ごと5~8曲あります。 笛の旋律、大太鼓・小太鼓・カネの拍子など全てに違いがあります。 テンポも変化し、例えば『砂切』は上り坂や回転時に士気を高めたり、観客を盛り上げる際に速いスピードで奏されます。 “砂切に始まり、砂切に終わる”という曲目で、お祭りが終わってもなかなかの期間、幻聴がします。

郭内小若_小太鼓カネ

郭内小若、小太鼓・カネ

郭内_大太鼓笛

郭内、大太鼓・笛。升で日本酒!

ページの先頭へ戻る